ワルシャワ

実のところ、この街自体は好きになることはできなかったです。飛行機疲れか、日差しが強く目がチカチカするほどだったせいでしょうか、ゆっくり楽しもうと気になかなか持っていけなかった。3日の滞在でしたが、最終日は早朝の列車に乗り逃げるように、次の街へと向いました。ワルシャワの街並みにはどうも既視感を覚えます。ヨーロッパに来たという実感がなかなか持てず、「クラクフにきて初めてヨーロッパって感じだ」と友達にこぼすと笑われました。計画を立てて、まわる所を絞って動けたらゆっくり楽しめたのでしょうが、初めての一人の海外旅行ということもありそこまで気を回せなかったです。


旅の始まりには、高いところで街を俯瞰するのがルーティンです。ワルシャワの景色を視界にコンパクトに収め、個性や特徴を探ろうと思いました。文化科学宮殿は夜まで営業しているので、午後についても十分間に合う観光スポット。大きな建物は圧倒的な存在感を誇り、いろんなアングルから撮らされてしまいます。景色の感想は人それぞれなので、こんな感じですとしか言いようがなかったり。WiFiが飛んでるのでタワーの下で休んでるとカップルに囲まれてしまい、いたたまれなくなり足早に去りました。ワルシャワ受難序曲の始まりです。

ある程度目的を持って人と巡ったほうが楽しめそうですね。この町を一人で目的なく歩いていると、少窮屈さを感じる街です。旅慣れていないというのも一因でしょうが。
ひとり旅感を得るため、ワルシャワではホステルに泊まりました。そんなホステルのエピソードをひとつ。旅の終着地プラハの宿を取るために、朝3時半ごろリビングに向かおうとするとスタッフに止められました。理由を聞くと彼は口を濁します。仕方なくフロントの隅っこを借りて画面を見ていると、女性の声が聞こえてきます。そして何かが軋む音も。声と音がだんだんと大きくなり、はっきりと聞こえ始めたところで鈍い僕でも察しました。海外ってすごいな。予約を済ませると、足早に8人部屋に戻りました。日が昇ると、リビングから男女が出てくるのとすれ違いました。その後、何度か僕はリビングを出入りしましたが、ソファーには座れなかったです。

公園は丁寧に整備されており美しく、野生のリスも見つけることができました。十分自然を感じることができるのですが、広いわりには休めるところが少なく、気温が高かったため喉が渇いてしょうがなかったです。ビールが飲みたくて、飲みたくて写真もそこそこに立ち去りました。サスキ公園も有名な公園みたいです。

文句ばかりなのでワルシャワで良い記憶がないではないかと思われるかもしれませんが、滞在中いろんな方と交流できたこととがいちばんの思い出です。飛行機で出会った同年代の方とまだ見ぬ異国について語り合い、ホステルでは新婚旅行でバックパッカーをしてるご夫妻や日本に住んだことがあるというポーランドの男性、ショパン像の前で出会ったコンクールの出場者の皆さん。

特にワルシャワを離れるときに出会った方は強烈でした。スマホを見ながらトラムを待っていたらタバコを吸ってるおじいさんが近づいてきて「お前は奴隷だ。スマホ奴隷だ」と喧嘩腰に言ってきました。まだ朝の5時で頭が回っていなかったので「あんたもタバコの奴隷だろ」と返すと、「お前は日本人か、日本人は最低の民族だ。お前は太平洋戦争をどう捉えてるんだ?」素直に持論を展開すると妙に気に入られてしまい、中央駅まで見送ってくれることに。ここまでは微笑ましい(?)エピソードなのですが、このおじいちゃん行く先々で問題を起こします。まずは男性にポイ捨てを咎められブチギレ口論、それを見ていた女性がおじいさんを非難して立ち去り、電車内では大声で話して隣のお姉さんに睨まれ、喫茶店で店員さんを罵り中指を立てるという有様。教養もあり話も面白かったのですが、このまま一緒にいるのは耐えられず、立ち去ろうとしたら引き止められ、おじいさんの身の上話を聞かされました。「俺は会社を3つ経営しているやり手のビジネスマンだったんだ。本社はNYにあるんだぜ。でもな、ある日強盗にあって一文無しになったんだ。警察に駆けんだんだが、あいつら身元確認ができないと言われ追い出しやがった。」要約すればこんな感じだと思います。この身の上話がかなり長く、途中で「で、要点はなに?」と聞くと、どうやらお金が欲しいそうで「15ズォチ(450円くらい)くれ、タバコ吸いたい」だそうです。彼との話も楽しかったので「とりあえず店員さんに謝ってくれ、彼らも仕事でやってるんだから、あなたに侮辱されるいわれはないよ。謝るんだったらお金をあげるよ」というと態度がコロリとかわり「俺の誇りにかけて誓おう」と殊勝な態度。お金を渡すと「お前みたいな日本人の若者と話をすることができて楽しかった」と握手を求められました。めでたしめでたし?
不思議だったのはこのおじいさん身なりが汚いという訳ではなく、髪やヒゲもある程度整えられていて、服も普通、世界史や地理に通じ言語も堪能でした。ただ爪は汚く、マジックテープの財布だったのが気になりますね。結局正体はわからず終いなのですが、おじいさんがNYに戻れるといいなぁと思いつつワルシャワからクラクフへと向かいました。

【撮影機材】
Leica M2/Summicron 5cm f2 collapsiel
NIKON 35Ti
film: lomography color 800/ Kentmere 100/fujifilm 記録用カラーフィルム100

なんだかんだでフィルム3本ほど消費はしているので通常営業。